国内外の新フレームやサングラスの中からグランプリ・入賞製品を決めるデザインアワード『日本メガネ大賞』。2024年度は、世界のジェンダーレスシフトに合わせた性別や年齢にとらわれない眼鏡、今までとは違う確かな新しさを感じるものが、これからの主流になると思われる、と総評されました。
デザイン部門の受賞作品のフレームを見てみると、どれもおしゃれ~!細部へのデザインやかけやすさまで追求した製品ばかり。丸みを帯びている形、特にボストン、ウェリントンが流行しそうなもようです。まさにジェンダーレスの世の中に受け入れられやすいデザインですね。
そんななか(そろそろ私もフレームを買い換えようかなぁ)と思っていらっしゃる人も多いかもしれません。
でも……レンズの度はまだぴったり
先日あるお客さまがご来店されました。
「メガネフレームを新調したいです。でも、今のレンズの度は私の目にぴったりなんです。フレームのみの交換ってできますか?」
すみません、使用されているレンズを新しいフレームに入替えするのはあまりおすすめできません……。
オススメできないどころか、そもそも不可能なケースもあります。
一回り小さいフレームを選ばないといけない
もし、使用されているレンズの大きさが新しいフレームよりも小さい場合は、入替えることが不可能です。すっぽ抜けちゃうか、隙間が空いてしまいますからね。
そのため、それまでにご使用されていたフレームよりも一回り以上小さいフレームへの変更であることが大前提となってきます。
推奨できない3つの理由
そのほか、入替えが可能であったとしても、推奨できない理由が大きく3つあります。
- レンズの中心がずれて出来上がってしまうと、見え方に影響が出る
- 思っていたような仕上がりにならないことがある
- 新たにメガネ一式買い替えるのと費用的に大差がないことも
1,レンズの中心がずれて出来上がってしまうと、見え方に影響が出る
レンズには、度数が最も適正に出る中心となるポイントがあります。私たちがメガネを作製する時は、その中心とメガネをかける人の目の中心がピッタリ重なるようにして作ります。
でも、その大事なことが、使用しているレンズを新しいフレームに入替えるとなると、レンズの中心と人の目の中心に合わせることよりも、使用するレンズが入替先のフレームにピタッとハマることを最優先しなければなりません(でないと隙間が空いてしまいますから……)。
そのため、レンズの中心と目の中心がズレて仕上がったために、これまで見え方が良かったはずのレンズをせっかく使用したのに、結果それまでとは違った見え方になってしまう。疲れやすくなってしまう。こうした結果になることがあるのです。
使用されていたフレームと新しいフレームの条件がよほど似ていない限り、何かしらズレて出来上がってしまいます。
2,思っていたような仕上がりにならないことがある
普段、私たちがメガネを加工する際は、加工機という機械を使って、フレームの枠の大きさや形をトレースし、工場から届いた丸生地のレンズを枠に合わせて加工します。ところが、レンズの入替え作業によっては、加工機では対応できない場合があります。
その際は「手擦り」といって私たちの手のみでレンズを削ります。そのため、その出来上がりは私たちの腕(手腕・技量)にかかってきます。レンズとフレームの間に隙間が空かないように、レンズの中心と目の中心ができるだけ合うように、乱視があればその軸が極力ズレないようにと、様々な要因を考慮しながらミリ単位で削ります。こうしたことの完成度の高さは私たちの熟練度によっても変わると言えるでしょう。
そして、手刷りというだけあって、かなりの熟練者であっても機械削りのような隅々まで均等で美しい仕上がりというものはほぼ不可能なはずです。レンズそのものに経年による劣化があるので、作業の途中で割れたりコーディングが剝がれたりすることも全くないとは言い切れません。
こういったことから、お客様が思っていたような仕上がりにならないかもしれないのです。
3,新たにメガネ一式買い替えるのと費用的に大差がないことも
「レンズはそのままにフレームだけ新調したい」というご要望には、費用を気にされておられる場合も多いことでしょう。もちろん、それまでの愛用されてきたメガネへの愛着という場合もあるかと思います。ただ、最近は私たちメガネの業界も随分と幅の広い価格帯を取り扱うようになってまいりました。
使用されていたレンズを活かして新しいフレームへと変更する場合、最初に申し上げた通り、それまで使われていたフレームよりも一回り以上小さいフレームであることなど、新しいフレーム選びにはどうしても条件が出てまいります。すると、そのフレームの価格が思っていたよりも高い・気に入らないといったことがあります。
そうであるなら、思い切ってご予算に応じたメガネを一式新調された方が、よりお客様のご希望に叶うメガネをご提供できることになります。
当店で解決のヒントを
当店も老若男女に向けて幅広い価格帯のフレームをご用意しておりますので、ご忌憚なくお申し付けください。
もちろん、レンズの入替も賜わっております。
今回の記事で書かせていただいたようなことがございますが、「どうしても使いたいんだけど……」「できるのかな、どうなのかな……?」といったお悩み事やご相談などございましたら、何なりとお聞かせください。大歓迎です。
お客様のメガネを拝見して、より良い解決方法やアドバイスをさせていただきます。
みなさまのご来店を心よりお待ちしております。